DOCUMENTARY

新入社員成長ドキュメンタリー Work at ADN -THE REAL- “前編”

会社説明会や動画だけではなかなか知ることができない、エンジニアの業務。
製品開発に関わる新入社員の瑠璃川が、1人前のエンジニアとして自信が手がけた製品が世に出るまでの新入社員成長ドキュメンタリーを紹介します

千里の道も一歩から

2023/07/24

2023年4月
新入社員として入社した瑠璃川。
きっとその胸は、これから始まる新たな生活への期待や不安で、張り裂ける寸前だったろう。
瑠璃川は地元北海道を離れ、縁がほぼないと言っても過言ではない秋田県に就職を決めたエンジニアを目指す社員だ。
そんな瑠璃川がなぜ、『秋田DNライティング』という会社に人生を賭けて入社したのか。
瑠璃川は語る。
「やりたい仕事がここにあった」

仕事風景

2023年、7月。
3ヵ月間の新入社員研修を終え、瑠璃川は生産部生産技術企画グループ製品技術チームに配属された。
瑠璃川のやりたい仕事、それは製品設計だ。
彼女がこの先何を学び、どのように育っていくのか、若いうちから活躍したい社員の成長を私はこの記録を通して見届ける。製品開発に携わり、一人前のエンジニアとして彼女自身が手掛けた製品が世に出るまで1ヶ月かもしれないし、10年かかるかもしれない。
読者には秋田DNライティングでエンジニアとして働くイメージを持っていただきたいため、現場のREALをここに記す。

そもそも瑠璃川が人生を賭けたほどの秋田DNライティングのものづくりとはどのようなものなのか。
その最大の特徴は街中で完成品を見られる楽しさだろうと、当社の古参エンジニア社員は答える。照明器具とは誰もが必ず目にしたことがあるものだが、その中身を知る人は少ない。照明という生活に欠かせないものを作り、実際に街中で見かけた時、当社のエンジニアは達成感を覚える。

製品技術チームは製品の量産化を実現するための設計を担うため、ものづくりを好む人がやりたい仕事がそこにあるのかもしれない。 ものづくりの様々な醍醐味の中でも「完成した形に向かう道のりを構想するのが好き」という瑠璃川だが、彼女は現在教育係の元で業務を行っている。 教育係というのは製品技術チームのリーダーでもあるTだ。 Tは広島県出身で苦労して手掛けた製品が量産に移行した際に最もやりがいや達成感を覚えるという、エンジニアらしい感性を持っている。 業務は主にチームのマネジメントから新製品の開発まで幅広く携わっている。 Tのもとで瑠璃川は何を学び、どのような成長を遂げるのか。

仕事に求めるもの、各々が目指す先、技術者としての誇り、それらが交差しここから瑠璃川のエンジニアの物語が始まる。

習うより慣れろ

2023/08/18

2023年8月 配属1ヶ月目
現在瑠璃川は、数多くある製品の知識を座学から学ぶのではなく、自身の手を動かしながら身に着けようと日々奮闘している。
これは『理屈から入るよりも実務から入りたい』、という彼女の希望が反映されている。
新入社員には配属前に希望する学び方と教育係との関わり具合をリクエストする場が設けられており、それらを参考に教育係は新入社員の意向に沿った育成を心掛けるのだ。

設計業務の中でも、今彼女が挑戦している業務は「既存製品の改良」という簡単そうで難易度の高い仕事だ。
ここにも『業務の負荷は多めで構わないからいち早く成長したい』という瑠璃川の意向が尊重されている。

仕事風景

「良い物を、早く、安く作る」というものづくりの基本に対し、既存の製品をもっと良い物を、もっと早く、もっと安く作るには数多くのトライ&エラーを繰り返すしかない。
具体的には「材料の最適化、作り手の工数削減、コストダウンを同時に実現する」という条件の中で、彼女なりの製品仕様を考案していくのがミッションだ。
一見すると新入社員には荷が重いように感じられるが、彼女には大学時代既存の殺菌装置の改良を行った経験がある。
改良の経験やノウハウを実践で活かす場面でもあるため、エンジニアとして腕の見せ所となるだろう。

彼女が今関わっているのは、建築化照明の一種で「トリムライン」と呼ばれる製品だ。
建築化照明とは、建築物と一体化させて取り付ける照明のことを言う。
照明器具を天井や壁、床などに組み込むことで、照明器具そのものは見えない状態でもヒカリが照らし出される、という照明インテリアデザインだ。

当社には『新入社員の思考・価値観に合わせた教育環境で大きく成長して欲しい』という教育方針があるため、それぞれに適した環境を用意する。
『業務の負荷は多めで構わないからいち早く成長したい』という彼女にとってより良い機会となる既存製品の改良。
次回、彼女の改良がどのような形で結果が出るのか、目が離せない。

百聞は一見に如かず

2023/09/15

2023年9月 配属2ヶ月目
瑠璃川はこれまで「トリムライン」という製品を通して、より顧客の要望に応える改良を行っていた。
現在は改良した製品のサンプルを完成させ、DNライティング技術部と連携して製品を形にしている所だ。
改良した製品のサンプル完成に至るまで、製造グループメンバーと何度も提案と相談を重ね、やっとの思いで彼女の作品を作り上げた。
製造グループの要望から「作りやすさ」だけを優先しても、原材料の「安さ」だけを優先しても、「良い物」は出来ない。
「顧客の要求水準を満たした、より良い製品」を仕上げるために、何度も失敗しながら最適解を模索していく。
当社の「失敗しても良いからチャレンジする姿勢」を後押しする環境があるからこそ、多くの業務でトライ&エラーを繰り返して経験を積むことができる。

仕事風景

それだけではなく、日常業務のものづくりに関わりながら製品への知識やノウハウの習得に励んでいる彼女は、徐々にその才覚を表している。
その一面が見て取れたのは、彼女がこれまで全く触れたことが無い既存の製品をゼロから試作するという取り組みを行った時だ。
当社の製品は部品の収集から材料の加工、組立までを各部署が役割を分担して行っているが、この取り組みは彼女自身が全ての工程を体験して未知の製品を完成させるという主旨で行う。

仕事風景
実際に試作した製品

このような製品試作はエンジニアとして『物を触って手を動かしながら分からない所を解消していきたい』という彼女に絶好の機会だ。
今回彼女が挑戦する試作は、まだ使い方も分からない未知の部品を使用し完成形が分からない未知の製品を作りあげるため、エンジニアとしての実力やアイデアが試される。
しかし彼女は知識がゼロの状態から試作を完成させ、当たり前のように設計されていた構造にも疑問を抱いたり、開発をベースとした彼女ならではの意見を出したりした。
教育係はこれに驚き、今後の新製品開発に活かせるのではと期待が寄せられている。

配属2ヶ月目では『実務から入りたい』『狭く深く教わりたい』という彼女の意向がより実現された業務となっていた。
製品の知識や構造の理解を身に着ける中で、物に触れる楽しさを実感できる当社の設計。
次回、彼女はどんな試作を行い、何を学ぶのか、目が離せない。

「知る」「好む」「楽しむ」

2023/10/13

2023年10月 配属3ヶ月目
瑠璃川はこれまで既存の製品をゼロから試作しながら、製品への知識や構造を身に着けていた。
1ヶ月間で4種類の製品の試作を完成させ、現在は当社で作られている製品の中でも生産量の多い3種類の製品を同時進行で試作している。
これらをより顧客に満足して頂ける形で提供するために、彼女自身が1つ1つ組み立ての流れを確認し新たな生産体制の構築に貢献している。
先月と比べ格段に扱う製品の種類が増え、業務の難易度や忙しさに変化が出ているが彼女は心から楽しそうに今組み立てている製品について教えてくれた。
当社ならではの部品から製品へ形になるまで全ての工程に携われるモノづくりは、自ら考えて自らモノを生み出すエンジニアの醍醐味と言えるだろう。

仕事風景

さらに彼女は製品の構造理解と部品についてより深く学ぶため、様々な特注品の見積書作成にも取り掛かっている。
彼女自身『モノを触って手を動かしながら分からない所を解消していきたい』という意向がある中で、書類の作成から製品の構造や部品の知識など学べるのだろうかと疑問に思ったが、これには彼女の教育係のとある意図があったのだ。
教育係は彼女の実技から入りたい意向を最大限尊重し、デスクワークだけではなく見て触れて物の構造を立体的に学べるような教育プランを考えている。
そのうちの1つである特注品の見積書作成は、まず基本の製品の構造、使用されている部品、部品の使い方を覚える必要がある。
それらを実際の製品に触れながら学び、特注の部分を自身で理解しながら書類を作成することで、より彼女の学びが深まる仕組みだ。
考え尽くされた教育のもとで彼女は着実に経験と知識を身に着けている。

彼女が組み立てを行った製品の中でも、当社で最も生産しているのは「MC‐LED」「TA‐LED」と呼ばれる2種類の製品だ。
「MC‐LED」はLEDモジュール、「TA‐LED」はLEDたなライトと区別され、違う特性を持った照明だ。
LEDモジュールとは電源と光源が分かれており、使用目的に合わせて電源装置、配線を選んで理想の光を作れるのが特徴だ。
それに比べ、LEDたなライトは電源と光源が一体化しているため施工が簡単で目的に合った器具を選んで使用する。
これらは顧客の用途や要望が形になったもので、多種多様な特性を持った製品に反映されている。

彼女の成長に合わせ、1日に触れる製品の数が増えて基礎の習得から実践的なものへ徐々にレベルアップした業務となっていた。
彼女が望む働き方として製品に触れる時間を増やすことで、楽しみながら学べる環境を可能な限り提供する当社の教育。
次回、新たな製品に触れ、彼女がどのように活躍の幅を広げていくのか、目が離せない。

All roads lead to the future.

2023/11/15

2023年11月 配属4ヶ月目
瑠璃川はこれまで当社で生産量の多い「TA-LED」「MC-LED」という製品を中心に試作を行い、製品の構造理解と部品の知識、組み立ての流れを学んでいた。
まず、彼女が組み立てた「TA-LED」という製品は、ネジを使用しない構造で、工数が少なく作りやすい製品となっている。
一方で「MC-LED」は特徴的な構造と特殊な工程があるため、彼女は試作の中でいくつか疑問を抱いた。
一つ目は、「TA-LED」をはじめとする当社の多くの製品はアルミケースにLED基板をスライドして収納する。
それに対し「MC-LED」は、LED基板をアルミケースの上からシリコンで貼り付ける点だ。
二つ目は、「MC-LED」のサイド板(器具の端を止める部品)は、「TA-LED」にはない段差を持つ構造になっている点だ。

仕事風景

「MC-LED」は、多様な照明手法で空間を繊細にデザインする意匠性の高い照明器具だ。
その製品の特性上、サイズが小さくLED基板をスライドして収納する空間を確保することが困難なため特殊な工程でLED基板を収納している。
さらに施工時に器具から出ているリード線を格納できるようサイド板に段差をつけ、リード線を曲げて取り付けてもはみ出さない意匠性を持った構造になっている。
顧客の要望を叶え、工程の無駄を省き、既に完成された製品であるが、彼女は組み立てを行う中でさらなる可能性を見出した。

それが、「MC-LED」のネジレス化だ。
彼女の設計開発デビューとなる「MC-LED」のネジレス化は、「TA-LED」の組み立てからアイデアを得て踏み切った挑戦だ。
既にネジレス化された「TA-LED」とは構造が異なるため流用が難しく、実在しない物を生み出すというレベルアップした業務となっている。
構想段階では、ネジが無い部分が不安定になってしまう問題に対し、部品にピンを立てることで部品の横ずれを防ぐ工夫を施したり、
実際に試作して取り付けてみたら部品の位置が合わず、コンマ1mmの世界で最適解を見出すため試行錯誤している。
エンジニアとして新人のうちからアイデアが採用され、積極的にトライできるのは育成環境が整った当社だからできることの一つだ。
彼女の部品開発への挑戦は今後さらに秋田DNライティング技術部門から発案していく足がかりとして大きく貢献するだろう。

教育係がフォローしながら新入社員としてこれまで無かった挑戦を行う彼女だが、業務負荷が大きいのではという懸念があった。
しかし彼女は『業務の難易度は何倍も上がったが、その分面白さも何倍も増えた』といいながら開発に注力している。
次回、果たして彼女は部品開発を形にできるのか、目が離せない。

失敗は成功の基

2023/12/15

2023年12月 配属5ヶ月目
瑠璃川はこれまで「MC-LED」のネジレス化の実現に向けて、新しい設計や量産化に向けた課題と向き合いながら試行錯誤を繰り返していた。
現在は「MC-LED」に加え、「TFL-LED」という製品のネジレス化を同時進行で検討している。
「TFL-LED」はLEDたなライトに区別され、スリムな形状で拡散する光を放ち、照射方向が調節可能な構造が特徴の成長期にある照明器具だ。
彼女は前回に引き続き「MC-LED」、「TFL-LED」の部品構造の工夫や微調整を行い、遂にネジレス化第一弾の設計を形にした。
構想から物を作り上げ、いよいよ製品に通用する物が設計できたかどうかを試す段階にきている。
3Dプリンターで製作した部品を使用し、実際に製造現場で組立を行いながら新たな部品の組みやすさ、安全性、工数などの生産性をみて現場からのフィードバックを得る。

仕事風景

初のネジレス設計製品の組立工程では、実際に組み立てる現場の社員に設計者である瑠璃川と教育係が立ち会い、新たに設計された部分の特徴や現状の問題点を伝えながら行われた。
しかし「MC-LED」では設計した部品が組立の中でことごとく破損してしまい、部品の問題点が改めて浮き彫りになった。
3Dプリンターで製作した部品は本来の部品と素材が異なるため壊れやすいのはあらかじめ覚悟の上だったが、
組みやすさという点で部品を製品に固定する部分が折れやすく、はめ込みにくいことが改善点として挙げられた。
はめ込みにくいことにより工数がかかってしまい、ネジがあった方が早く組み立てられるのではネジレス化の意味が無くなってしまうため形状の工夫が必要となる。
また「TFL-LED」ではネジレス化した部品をはめ込むために従来の構造では問題が無かった部分に支障が出たため改善が必要になった。
「MC-LED」のように部品の破損は少なかったが、はめ込んだ際の不安定さ、従来の構造と新たな部品の兼ね合いが課題となる。

「MC-LED」、「TFL-LED」ともに改善点がいくつか指摘されたが、瑠璃川は早速それらを反映した新たな設計を行っていた。
実際に現場からの声を受けて、ここからがエンジニアとしてのトライ&エラーの見せ所となるのだ。
今回の課題を設計に反映させ、再び現場で組立を行うことを繰り返し、問題なく量産が可能な形になるまでトライし続ける。

彼女のアイデアや教育係の経験をもとに開発されたネジレス化が実現へ一歩近づいた瞬間であった。 彼女のトライ&エラーがここから始まっていく。
次回、彼女はどのように課題に取り組むのか、目が離せない。

七転び八起き

2024/01/15

2024年1月 配属6ヶ月目
瑠璃川はこれまで「MC-LED」「TFL-LED」のネジレス化した試作品第一弾を完成させ、新たな課題と向き合っていた。
新たな課題というのは前回試作品の組立時に挙げられた設計上の問題、試作品の強度、組立やすさの改善だ。
今回はさらに企画管理チーム設備技術チームを交え、試作品第一弾に対するデザインレビューを行い、視野を広げた意見を集めた。

企画管理チームからは、各生産工程においてコストダウンや工数削減といった観点から意見をもらう。
しかし自分なりに配慮をしたつもりではあったが、改めてデザインレビューを通して第三者の意見を聞くと製造現場への気遣いが充分だったとは言えないことに気付かされた。

仕事風景

今後、改良を加え各生産工程で試作品を製造する際に活かされるだろう。
一方で設備技術チームからは、ネジレスを実現するために欠かせない設備を利用した製品の加工について提言された。
それは当社の照明器具で使用するアルミカバーに穴をあける加工を行う際に、現在のネジレス化設計では穴の位置に問題があり加工機で穴が空けられないため改善が必要というものだ。
彼女はこれに対して新たに穴の大きさ、位置の変更から他の器具の構造を流用した技術を活かせないか検討している。
さらにデザインレビューで出た課題を解決するため何通りもの設計を行い、新たな構造の提案から外注への依頼検討、部品の一部の角度を直角にするか89度にするか、などより細部の改良まで行った。

こうしてトライ&エラーを繰り返し、最終的にはほぼ全ての部署を巻き込んで製品の仕様を確立させていく。
当社のエンジニアは設計を行うだけでなく、製品の生産に関わる全ての部署や人を巻き込み、より良いモノづくりを実現していくのだ。

ネジレス化の提案から設計開発、試作品の作成、試作品のデザインレビュー、そして新たな設計開発、と彼女の一連の業務を追ってきた。
配属から基礎的な製品知識を見て触れて学び、6ヶ月目にして製品の一部ではあるが設計開発を担えるのも当社の育成環境や何より彼女自身のモノづくりへの意欲があるからだろう。
照明器具としての機能性、意匠性を担保しつつ、ネジレス化の原材料削減による環境に配慮した取り組みを実現させる彼女の挑戦はまだまだこれからである。

彼女はネジレス化を通し、製品の一連の設計開発フローを学んだ。
次回、エンジニアとして一歩前進した彼女が次にどのような業務に挑戦するのか、目が離せない。

ものづくりは格物致知

2024/02/16

2024年2月 配属7ヶ月目
瑠璃川はこれまでネジレス化を通し製品の一連の設計開発フローを学んでいた。
トライ&エラーを繰り返し、教育係の補助を受けながらネジレス化の実現まで確実に1歩ずつ前進している。
新入社員からの発案が形になり、設計開発を主体的に行う経験が可能となるのは若手の活躍を積極的に支援する当社の体制があるからだろう。
若手のうちから活躍したいという考えを汲んで、教育係が負荷を調整しながら幅広く業務を任せる。

彼女もバリバリ設計開発を行いたいという考えがあるため、ネジレス化の他にも様々な内容の業務を担っている。

仕事風景

特注品の対応から新製品の開発まで、多種多様な製品の設計開発を行いながら知識と経験を積んでいる最中だ。
メインとなる設計開発業務ではネジレス化を含め6種類ほど掛け持ちしており、納期に沿って計画的に進行してる。
中でも最近はSC3、TRE2、TIE、TIMと呼ばれる製品を取り扱った設計が多い。
これらは「屋内ライン照明」と区別され、これまで紹介した「たなライト」や「LEDモジュール」とは特徴が異なり建築物の空間を演出する照明器具だ。
主に建築物の屋内に使用されるが、さらに照明器具としての用途がそれぞれ異なる。
SC3TRE2は関節光を利用した建築物や建築空間を引き立てるデザインを得意とする照明器具であり、器具自体は見せず間接的に壁などを照らすことが多い。
一方TIETIMは一面発光という特徴を活かし、直接光で空間を明るく照らしながら器具の存在感を感じさせない空間づくりが可能となる。

仕事風景

当社の製品はライン照明という細長い形状の照明器具を製造しており、一見すると製品の形自体に大きな違いはない。
しかし顧客ニーズに寄り添った細部へのこだわりや意匠性と機能性を兼ね備えた設計が反映され、それらが多種多様な製品の形となっているため、多くの品種が存在している。
こうした数多くの製品に触れながら学び、実際に設計開発を行うことで知識と経験を身に着けるのだ。

彼女は幅広く製品の知識を身に着けることで、新たな設計開発に挑戦し続けている。
次回、彼女は何を学びどのような挑戦を行っていくのか、目が離せない。

経験に勝る設計なし

2024/03/15

2024年3月 配属8ヶ月目
瑠璃川はこれまで複数の製品の開発に携わりながら、様々な設計に挑戦していた。
来年度の新製品開発にも参画し、これまで学んだ製品知識や構造理解を活かしたアイデアを日々提案している。
新製品に関わる設計開発の中でも、貴重な経験を積んだというのがTIEと呼ばれる製品の治具作成だ。

彼女が新たな設計を担う製品の中で、TIEという器具の一面からのみ発光する特徴の製品がある。
この特徴を持つ製品は組み立ての工程で黒いテープを貼るのだが、製造現場から「テープが貼りにくいため治具を作成して欲しい」という依頼があった。

仕事風景
完成図
仕事風景

テープの上辺の位置のズレが0.5㎜以内と定められており治具なしでは時間がかかってしまう工程のため、誰でも簡単にテープが貼れる治具を考案していく。
ズレが0.5㎜しか許されない中で、僅かな部品のばらつき、製品の強度を考慮しなければならない治具はよりアイデアが求められる設計開発といえるだろう。

彼女はまずテープのズレを最小限にするため、器具とテープの位置を固定して貼る治具を作成した。
治具にはテープを固定するピン、背もたれのような器具の固定を補助する部分を作り、テープに器具を押し付けながら貼る設計を提案した。

しかし実際に使用してみると、器具の位置決めを補助する固定部に強度不足があるなど実用不可能なものになってしまった。
そこで2つ目の試作では全体的に強度を高めたが、どうしてもテープのズレが0.5㎜以内に収まらなかった。

彼女はこれらの治具を、器具にテープを貼り終えるまで使用するイメージで設計を行っていた。
しかし試作品のレビューで「最初にテープをつける位置を定めるのが最も難しく、そこで位置が決まれば0.5㎜の許容範囲内に収まる」という製造現場から新たな設計の糸口となる声が上がった。

どのような動作で治具が必要になるのか、治具にどのような役割を持たせるか。
次回、彼女はこの失敗をどのように設計に生かしていくのか、目が離せない。

仕事風景
右:治具試作品① 左:治具試作品②

初志貫徹

2024/04/15

2024年4月 配属9ヶ月目
瑠璃川はこれまで新製品に関わる設計開発において治具作成に奮闘していた。
何度も試作を行い、製造現場の声を参考にしながら彼女ならではの新しい治具の形に挑戦する。

初期の試作では治具にテープを置き、器具を押し付けながらテープを全面貼り付けるという一連の動作で使用するものを作成していた。
しかし試作品レビューの「最初にテープをつける位置を定めるのが最も難しく、そこで位置が決まれば0.5㎜の許容範囲内に収まる」という助言をもとに彼女は治具を使用する動作を、最も肝心なテープの位置を決め貼り付ける動作に絞り込むことにした。
最初に張り付けるテープの位置と器具の接地面を定めることで0.5㎜のズレを最小限にし、テープの貼りにくさを解消するのだ。
この構想を思い付いてからの彼女の設計は初期の設計から大幅に進化したものとなった。

仕事風景
完成図

テープと器具の固定部分強化、テープを置きやすくするためのカットライン、テープを固定するピンの追加などこれまでの設計の経験を活かしたアイデアも盛り込みながら治具を完成させた。

このTIEだが、彼女の功績により製品の組立にかかる製造時間が短縮されよりスムーズに顧客に製品を提供することが可能になった。
彼女はメインの設計業務となるねじレス化やTIETIMに加え、既存製品の改良や生産をフルオートメーション化した器具の構想を練ったりと複数の業務を同時進行で行うため今回のように上手くいくこともあればそうでないことも多く、その難しさにやりがいを感じている。

入社から1年が経ったことで、これからは新入社員ではなく若手社員として幅広い設計業務を担っていく。
自身を振り返り「まだまだ分からないことだらけだ。」という彼女だが、1年間でいくつもの新製品立ち上げに携わり継続的に業務を進行する姿からは大きな成長を感じる。
エンジニアとして特に設計業務で活躍したいという配属当初から変わらない彼女の意向を尊重し、教育係の指導の下今後設計する製品はますます増えるだろう。

1年という節目を迎え、新たな視点で仕事と向き合う。
次回、若手社員となりどのような挑戦をしていくのか、目が離せない。

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